米トランプ大統領が「自閉症の原因を発表」とその前の週あたりから話題になっていた。
(sazaeさん情報、、さすが!)そして9月22日、1時間にわたる記者を前にした発表。
発表内容
妊婦さん、小さい子どもは発熱や痛みがあっても、鎮痛剤の類を飲まない方がいい、飲んではダメだ、もし飲むなら最小単位の薬剤を短期間にすべき。
ワクチンの混合接種を赤ちゃんにしてはいけない。何度も分けて行なうべきだ。
これらの情報は、ある程度発達業界では有名な話ではあった。ワクチンに含まれるチメロサール(水銀)が体内に蓄積される。タイレノールとトランプ大統領は連呼していたけど、鎮痛剤は最小限に。特に発熱時の子どもへの解熱鎮痛剤はジョンズホプキンス大学でも必要ない、感染症を長引かせるだけだ、と言われている。今回のインタビューでも触れられていた。
- 子どもに解熱鎮痛剤を投与することで病気が長引くこと
- 発熱が感染した身体の中のウィルスと戦っている証拠であること
妊婦が解熱鎮痛剤「タイレノール」などに使われるアセトアミノフェンを服用すると、子どもの自閉症リスクが高まる可能性がある。アメリカ食品医薬品局(FDA)は医師向けにも勧告を出す方針となったが、これには医学界や製薬会社から強い反発が起き、科学的根拠に疑問の声も上がっていることも事実。nikkei+7
医療団体、薬品業界などの反応は
- アメリカ産科婦人科学会ほか多数の医療団体は「20年以上の研究で因果関係は確認されていない」「アセトアミノフェンは妊婦にとって今も重要で安全な選択肢」として、政権の発表を批判。nhk+2
- タイレノールの製造会社ケンビューは「科学的なデータで自閉症発症は証明されていない」として、妊婦の健康リスクや混乱を懸念する声明を発表。bbc+1
- 医療倫理学者などは「妊婦へ恐怖や罪悪感を与える危険性」「発熱や痛みの治療をためらわせる非科学的な判断」と厳しく批判しています。news.yahoo+1
大統領がこんなこと言ったら、薬が売れなくなるから、各業界は必死だ。健康よりお金?何が大切なんだろう?確かに、アセトアミノフェンが原因であるという決定的な証拠はない。
政権の背景と関連政策
- トランプ大統領は「自閉症の急増をアメリカ公衆衛生の危機」と位置づけ、厚生長官ケネディ氏と共に原因究明の新規研究に取り組む方針を示した。mainichi+1
- また、一部ワクチン懐疑派・反薬品規制派の支持も拡大を図っているという指摘もあります。nikkei+1
米疾病対策センター(CDC)の調査によると、米国内で2022年に自閉症と診断された8歳児の割合は、31人に1人だった。12年には69人に1人、00年には150人に1人と報告されており、割合は増えている。
科学的な見解
- 実際のところ、自閉症の発症には定義の拡大や遺伝的・環境的要因など複数の要素が絡み合っており、アセトアミノフェンだけが大きな要因とは考えにくいと言える。nhk+2
- FDA自体も「因果関係は確立されていない。科学的議論は続いている」と説明。news.yahoo
今後の動き
ケネディ長官は、妊娠中のタイレノール使用に伴う潜在的リスクについて食品医薬品局(FDA)が医師向けの通知を発表する方針だと述べた。FDAは同薬の安全性ラベルの変更手続きを開始し、啓発キャンペーンを展開する予定だという。
ケネディ氏はまた、FDAが抗がん剤の副作用軽減に用いられてきた古い薬「ロイコボリン」を、自閉症児の治療薬として承認する方針を示した。FDAのマーティ・マカリー委員長はこれについて、ビタミンBの一種の葉酸が不足する自閉症児の言語能力改善に、ロイコボリン(フォリン酸)は効果があるかもしれないと示す研究があると説明。研究に基づいて承認手続きを進めると述べた。
ロイコボリン
アメリカの慈善団体「自閉症協会」は、妊娠初期の葉酸不足が自閉症リスクの上昇に関連する可能性があると示す研究は存在するものの、そうした研究の結果は一貫していないと指摘している。
ノルウェー、アメリカ、イスラエルで行われた研究では、妊娠前後に葉酸サプリメントを摂取した母親の子供は、自閉症の発症率が30〜70%低かったとされる。しかし、他の研究では有意な関連は見られなかった。
フォリン酸(商品名「ロイコボリン」)が自閉症の症状の一部を改善する可能性については、ロイコボリンを用いた臨床試験に基づく。フォリン酸は、通常の葉酸よりも血液脳関門を通過しやすいとされる。異なる投与量と評価基準を用いた4件の小規模な無作為化試験が実施されており、2016年にアメリカで実施された実験では、自閉症児48人を対象に、言語能力の改善がプラセボ群と比較して確認された。
ただし、研究者らは科学的知見はまだ初期段階にあり、確定的な結論を出すにはいっそうの研究が必要だと警告している。(毎日新聞)
方向性のひとつであるとみていい
今回の発表の場に、二人の自閉症のお子さんをもつ母が出席した。
ひとりのお母さんは以下のように述べた。
1000まで数えられ、アルファベットをすべて覚えているけれども、言葉がでないという障害があり、数字や文字は言えるけれど、本当のコミュニケーションは取れないという。母や周りの言っていることが理解できなくてイライラする。ダメ、と言われていることはわかるけれど、その背景にある意味がわからない。とても育てるのが難しく、重度の自閉症の子を持つ親は孤立してしまう。「ダメ!」の応酬で子どもはその理由もわからず、パニックになり、友達の家に連れていくこともできない。親はただ無力な状況に置かれ、子どもを守ることしかできない。
繰り返しになるが、自閉症は非常に複雑な要素が絡み合っている状態であるので、今回のアセトアミノフェンだけが問題であるわけではないだろう。それでも、今苦しんでいるご家族は理由を知りたいだろうし、もし取り除けるのであれば、解毒剤があれば喉から手が出るほど欲しいだろう。
もし、この発表があったことで、妊婦さんが少しでもリスクを知り、リスクを避ける行動をしてもらえたら、少しは自閉症と言われる子ども達は減っていくのかもしれない。もっと大がかりで、長期的な研究が必要なんだろうな。
コメント